相棒

「相棒」の舞台挨拶がある回を見るために川崎に行ったことが、
僕にとってGW唯一のイヴェントでしたよ。


映画の感想としては、
ドラマ版のファンの多くの人達も似たよーなもんなんじゃないかと思うんですけど、
「『相棒』が映画になったんだから面白いっちゃ面白いけど、これならTV版の方にずっと面白いエピソードがあるから、ちょっと残念で悔しい」
って感じです。


まず思ったのが、「相棒」でおなじみの台詞やシチュエーション、
例えば右京さんの
「あともう一つだけ、よろしいでしょうか」
「細かいことが気になるもので・・・僕の悪いくせ」って台詞とか、
伊丹の「特命係の亀山ぁ〜」とか、
「花の里」での4人のシーン(例のスライドギターのBGM付)とか、
そーしたのが映画では無くて。

で、それは単に、キャラ萌えにならないから・・・ってわけじゃなくて、
「おなじみのパターンが無い」ってことはつまり、
その分いつもの「相棒」と違う、ってことで。
最初は何気ない・完璧に見えた事件が、「あともう一つだけ、よろしいでしょうか」と特命係が1つ2つ解きほぐしていって、やがて大きなヤマに辿り着く・・・
そーゆージワジワと攻めて締め付けられるよーな感覚が、「相棒」の何とも言えない魅力の1つだと思うんですが、
今回はそれが無くて、最初っから大きなヤマが現れると。
ま、それは、映画ってことで、はじめに「映画にふさわしい大きなテーマ・設定ありき」で始まったからだと思うんです。
で、そのテーマとして、「日本人の集団無意識による悪意」ってのは充分アリだし、
舞台として東京マラソンってのはいいと思うんですけど、
それが結局「相棒」らしさを失わせてしまったことは、言えると思うんです。
だから、
右京さんが単なるスーパーマンみたいになってしまっているし、
寺脇の亀山も相棒である必然性もあまりなくて、頭脳派の右京さんに対して肉体派の亀山、ってくらいの印象しか映画からは感じられなくて。


ま、いつものTVシリーズと同じことをするんだったら、わざわざ映画にする必要もないわけで、
だから映画でしか出来ないことをやる、ってのは正しいわけですが、
そーしたら今度はいつものTVの良さが無くなってしまう・・・とゆーTVシリーズの映画化におけるパラドックスなのかもしれませんが。
(その意味では「踊る大捜査線」の映画はよく出来ていたなぁと改めて。)


で、僕がこの映画で一番デカイと思うのがエンディングで。
多少ネタバレしますが、
犯人が逮捕されてからが長いのは、いつもの相棒でもよくあることですけど、
逮捕以降もジワジワ追いつめて行って、最後まで妥協しないのが「相棒」だと思うんです。
例えば「サザンカ」の回なんかだと、逮捕後にもそれを隠蔽しようとする警察組織に対して、地方公務員法の人事異議申し立てかなんかを使って追い込んでゆく・・・そーゆーのがあったと思うんですが、
今回のエンディングで木村佳乃が会見やったのは、別に特命係が追いつめたからじゃないんですよねぇ。
そこに会見する必然性が、映画を見るかぎりは見受けられない。
だから、ハッピーエンドではあるんですけど、それがご都合主義に見えてしまったんです。
実際、2時間の映画にするために、はしょった部分もあるのかもしれないけど、
ところどころでそーゆー残念な部分があったなぁ、と。



ってことで、
これからノベライズ本を読もうかなぁと。
噂では、映画と本では犯人が違うらしいし。